クチの反乱







ある日、城内をぶらついていると、ホールの花壇のそばを歩くアリーナを発見。
なんて偶然。お声をかけよう。


「姫様ー!姫さ…」



あれ、何だかちょっと怖い顔してらっしゃる…気が…?



クリフトの呼び声に気づいたらしく、歩くのを止めてこちらを振り向いた。

瞬間。

アリーナはこれ以上ないってぐらい大股でこっちに向かって大突進。





ずかずかずかずかずかずかずかずか





…え?…え、え、え、目的、私?あれ、ひょっとして怒っていらっしゃる?わ、わわわ私何かしたでしょうか…ってえええええっ!!




ずかずか!!
むんずっ



「クリフトっっ!!!」
「うあはいっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「あたしが王女じゃなくてもクリフトのケーキを食べる方法ってない!?」
「ごめんなさいごめんなさ……………え??」





固く閉じていた目を恐る恐る開いて、アリーナを見れば。





恐ろしいほど真剣な眼差し。
生半可でない気迫。

突き刺されそうな感覚。










ぴりぴりするような緊張感に、心も体も押されて押されて押されて押されて―――













































「…私はいつでもどこでも姫様のところへケーキを作りに行きますよ…」

















































「うわあうっ!!」

慌てて口を押さえるがもう遅い。勝手に本音は滑り落ちた。口の反乱。
あまりにあまりな事態に顔は沸騰、頭は氷結。視線は泳ぐ泳ぐ泳ぐ。
あちこちうろついた視線が、最後にアリーナのきょとり顔に行き着きついた。
目をぱちくりぱちくりさせて、何だか考え込んでるように見える。
あああ困ってらっしゃるきっと困ってらっしゃるんだ!どどどどうしようどうしたら………




























ぽん。


「そっか。なーんだそっか。そんな簡単なことだったんだあ」
「?」
「そっかそっか、クリフトが作りに来てくれるのね。それなら確かに心配ないや」
「???」
「問題解決!これで心置きなく外での生活の計画が立てれるよー。クリフトありがと!」
「いえそんな、ど、どういたしまして…」



ん?あれなんか今すごいオソロシイ野望が聞こえたような。






でもそれよりなにより、そんなことより。
ひょっとして、いやひょっとしなくても。
今、すごくすごく、それはもうとんでもなく半端でなく、



――――――嬉しい。
















じゃーケーキ焼いたらまた呼んでね!と、腕を振り振り風のように去っていく。
ぼうっとした意識のまま、反射的に手を振りながら、遠ざかる姿を見送る。




嫉妬したくなるぐらい自由奔放な、愛くるしい愛しい姫君。




凝視するにはあまりにも眩しすぎて。
クリフトは思わず目を閉じた。




*** あとがき ***

97%じゃなくて100%書き直しだよ跡形も残ってないよ前の部分!
ラストがえっらく苦労しました…。魂抜けて動いてくれなかったんですクリフトが(涙)
(書いた日:2005/08/12)


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