緑のサンタ 「…あの…」 「あらクリフト。なぁに?」 「実は、頼みたいことがありまして」 「あらぁアタシに頼みごと?珍しいわね。で、何?」 「はい…今日、姫様と同じ部屋ですよね?」 「そーよ」 「あの…姫様がお眠りになった後に、」 「部屋で二人きりにしてくれって?」 「ちっ…違いますっっ!!何てことおっしゃるんですかっ!!まったくもうっっ 姫様がお眠りになった後、枕元にこのプレゼントを置いてほしいんです!」 「……はぁ??」 「今日はクリスマスイブで、明日はクリスマスです。ですから…」 「いやそれはわかってるんだけどさ、何アンタ、クリスマスプレゼントそんな風に渡すの!?」 「ち、違いますよ、私は私で別に用意してます」 「別に…って…」 「姫様は、まだサンタクロースを信じておられます」 「え…そなの??」 「そうです」 「…マジで?」 「本当です。 ですからこのプレゼントはサンタクロースからのプレゼントということにしたいのです」 「なるほどそーいうこと…。ならいーわ、アンタの頼み遠慮なく受けたげる。アリーナのためだものね」 「本当ですか!ありがとうございます!あ、これが姫様へのプレゼントです」 「うんうん。で?」 「…は?」 「ん♪」 「…その手…何です?」 「依頼料♪ 言っとくけど、アタシへの頼みごとは、高いわよぉ?」 「…………………………」 ・ ・ ・ 「うわーーーーぁ!!!」 「あらおはよ、アリーナ」 「おはよー姉さま!ねえ見て見て!プレゼント!起きたら頭の横にあったの!」 「あら本当?」 「そっか今日クリスマスだっけ。サンタからのプレゼントだ!」 「いいわねえ。早速開けてみたら?」 「うんっ…ええーっと……………うわぁっ可愛い…!」 「あら…ネコのぬいぐるみ?へえ、手作りじゃない」 「ミーちゃんそっくり!」 「ミーちゃん?それって、お城のネコちゃん?」 「うんそうなの。お城にいるときは毎日遊んでたんだけど、今は遊んであげられないからちょっと寂しかったんだ…。 でもこの子ほんとーにミーちゃんそっくり。お城で待ってるミーちゃんの分まで可愛がってあげようっ!わぁい嬉しー!ありがとうサンタさんっ」 「よかったじゃない。………へえ、なかなかやるじゃない。緑のサンタも」 「緑?赤じゃなくて?」 「うふふ…」 アリーナの問いかけには答えずに、マーニャは意味深な笑みを浮かべながら、新しいボトルワインをグラスに注ぎ、くいっと飲み干した。 は、はーーーっくしゅんっ! 同じ頃。 いつものように緑色の神官服をまとったクリフトの大きな大きなくしゃみが、紅茶のよい香り漂うキッチンに響き渡ったのだった。
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