「あ、いっけない!なくなってるものがあるんだった!」

ごめん急いで買ってくる、とまもりはそう言い残して部室を駆け出していった。

特に返事するわけでもなく見送るわけでもなく。
蛭魔はかたかたとノーパソのキーボードを叩く。





かたかたかたかたかたかたかたかたかた
かたかたかたかたかたかたかたかたかた










……ざーーーーーーーっ







まもりが部室を出ていってから8分と24秒。

突然の雨。











そういやあの女、傘持って出やがらなかったな。

…知ったこっちゃねェが。









かたかたかたかたかたかたかたかたかた






変わらぬペースでキーボードを叩き続ける。






かたかたかたかたかたかたかたかたかた
かたかたかたかたかたかたかたかたかた
かたかたかたか


「………腹、減ったな」


誰に言うともなくぽつりと呟く。
思い立てば即行動。
すぐにノーパソを閉じ、傘をつかんで部室を出る。









まもりが出ていってから、12分43秒。

思いのほか雨は強かった。

目的地はコンビニSONSON。
ますます激しくなる雨足。






「…」











糞マネが何を買い忘れたのかは知らねェ。
糞マネがどこに買いにいったのかも知らねェ。
ましてや糞マネが今どこをうろついてるなんざ知ったこっちゃねェ。


が。


もし、俺の進路を乱さねェ場所に落ちてるんなら。
そんときは。






拾ってやる。



















まもり出発から21分20秒。

SONSONで途方に暮れるまもりを蛭魔が認めるのは、あと少し先。





***
もちろん拾いましたともまもりさんSONSONにいたから。
これが濡れながら帰ってくる途中にすれ違うとかなら絶対拾わないうちのヒル魔さん。だって悪魔だし。
相合傘熱烈希望。と思ったけど、うちのヒル魔だからなぁビニール傘買って渡すのかも。なんてドライな。
... 05/10/22



*小説TOPへ戻る*

TOPメニューへ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送