10月1日 10:00


リリリリリ、
リリリリリ、…


「もしもし、樫畠ですが…」
「樫畠くん、わしだ。中村だよ。」
「あ、警部、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「それどころじゃない。君は西河正人(にしかわまさと)という男を知っているな?」
「はい、大学時代の友人ですが…」
「その男が、城ヶ崎で転落死をしたんだ!!」
「ええっ!!何ですって!!警部、待っててください。すぐ行きます!」


かくて事件は幕を開けた…




10月1日 12:00


【城ヶ崎 崖の上】

「ここが現場だ。ホトケの死体は崖下にある。」

「鞄を見てみましょう。」
「うむ、ホトケの遺品のようだな。中は…
 特に変わったものはなかったが、パソコンなんぞに使う、…何と言ったかな…」
「フロッピーディスクですか?」
「そう、そのディスクの入った箱があった。」

「ディスクの箱を見てみましょう。」
「うーむ、わしには詳しくわからんな。鑑識に渡しておくから、そちらに聞こう。」

「柵を見てみましょう。」
「危険防止のための柵だな。汚れているように見えるが…?紙も貼ってあるようだ。」

「貼り紙を見てみましょう。」
「“ペンキ塗りたて、触るな”と書いてあるな。」

「柵の汚れを見てみましょう。」
「ううむ、汚れかと思っていたら、ペンキが剥がれた跡らしい。」

「地元の人への聞き込みは?」
「“ここらへんは交通が不便でねえ。夜10時を過ぎると交通機関はみんな止まってしまうんだよ。”
 という証言を得たぞ。」

「地元警察の捜査結果は?」
「調べてくれた警官は、
 “現場は、自殺の名所なんです。柵が老朽化してきたので、修繕したばかりだったのですが…
  また、ホトケらしき人物がこの近所の旅館に宿泊、予約ともした形跡はありません。”
 と言っていた。」

「警部、遺留品のことを鑑識に聞いてください。」
「よし、わかった。林さん!
 ホトケの遺品について教えてほしいんだがね。」
「ディスクの箱を調べてみたところ、解読できない青いディスクが1枚ありました。中村警部にお預けしておきます。」
「ご苦労でした。調査を続けてください。」


【城ヶ崎 崖の下】

「死体を見てみましょう。」
「財布の中の名刺とカードから西河正人と断定した。名刺入れに君の名刺があったので君に連絡したんだが間違いないかね?」
「はい…しかし、どうして彼が…」

「服の汚れを見てみましょう。」
「背広の背中と、ズボンの裾が汚れている。何なのかなあ…」

「死体の背広を見てみましょう。」
「おや、背広のポケットに手帳があった。」

「手帳を見てみましょう。」
「仕事の予定などが書いてある。…おや、このページには短歌が書いてあるな。
 “願わくば 菊のもとにて 秋死なむ その長月の 望月のころ”
 これは何を意味するんだ?“自省の句”とも考えられるな。
 何にしても証拠になりそうだな…樫畠くん、取っておくぞ。」

「警部、鑑識に聞きたいことが…」
「よし、わかった。林さん!
 死亡推定時刻について教えてほしいんだがね。」
「今日の0時から2時にかけての間です。」
「死因について教えてほしいんだがね。」
「頭蓋骨骨折、内臓破裂…要するに、転落死ですね。」
「ご苦労でした。また何かわからないことが出てきたらお願いします。」

「樫畠くん、これまでのところ、どう思うかね?」
「西河くんの服に付いていたのは、崖の上のペンキですね…
 おかしいですよ!自分で飛び降りたのなら、ペンキは顔の向いている側、つまり胸や腹につくはずです!
 警部、これは他殺です!西河くんは誰かに突き落とされたんだ!」


【城ヶ崎 崖の上】

「おっ、待ってくれ。今ホトケの会社の社長が、連絡を聞いて駆けつけて来たようだ。」

「初めまして。私パワーソフトの社長をしております富野と申します。」
「僕は樫畠明人です。西河くんとは大学時代からの付き合いでした。
 今は探偵みたいなことをしています。こちらは…」
「この事件の担当をする中村です。
 樫畠くんは警察の人間ではありませんが、身寄りのない被害者の身元確認に来てもらいました。」
「富野さん、何か心当たりでもありませんか?」
「西河くんは、運転免許を持っていません。その時間にひとりでこんなところまで来られるはずはないんです!
 それに、お恥ずかしい話ですが彼はうちの社内で恨みを買っていた節もあるんです…
 彼の死に何があったのか調べていただけませんか!?お願いします!」




殺意の階層
パワーソフト連続殺人事件

原作:佐伯市高(さえきいちたか)
協力:樫畠明人(かしはたあきひと) / 中村貴継(なかむらたかつぐ)
脚本:佐伯市高





***
とりあえず1日目の会話だけ打ち込んでみたり。樫畠の台詞が単調なのは仕方ないのです。選択肢を選んでるので。
これを初めてやったのは小学校2年ぐらい?のとき。叔母が「面白いよこれー」とうきうきと私に紹介してくれた気が。
この叔母からはパチ夫くんとかも買ってもらっていて、我ながらどんな情操教育を受けてきたのかと末恐ろしく。
何にせよ、幼いながらもミステリー好きだった私はこのプロローグに心惹かれ、そして現在に至るのであります。(05/11/14)



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