05.1ゴールドの重さ ...04/08/20



「あ〜っ!!」
「どうしました?」

デイの素っ頓狂な声に、一緒にいたクリフトが反応した。

「あっちゃー…やっちゃった。お金、足りないや。ネネさんのところに預けすぎた…」
「ええ?一体いくら足りないんですか?」
「1ゴールド」
「…うわあ…」

ネネが取り仕切る預かり所とこの店は歩いて15分以上は離れている。誰かに貸してもらってもいいのだが、仲間たちのいる宿屋は預かり所よりさらに遠い。

「ここから預かり所に戻るにしても宿屋に帰るにしても、往復30分以上…正直面倒ですねえ」
「かといって売るものも持ってないし…」
「私も何も……あっ」

クリフトは何かを思い出し、ごそごそと自分の道具袋の底を探り出した。

「…ああ、ありました!1ゴールドだけ」
「ホント!?」
「この前この中で財布をぶちまけてしまったのが残ってたんですね、運がいいなあ」
「やった〜!じゃあ貸して!」
「はい、どうぞ」

クリフトがデイに手渡そうとした瞬間。

指が、すべった。



『あ』









ちゃりーん




ころころころ。ぽちょん。






「…」
「…」







救世主になるはずだった金貨が無情にも足元の排水溝へ吸い込まれていく。
デイとクリフトは、それをただ呆然と見守るしかなかった…。








「何かもうホントすみません…」
「あはは…いやいや、仕方ないよあれはホント…」

結局、預かり所へとんぼ返りすることとなり、その道すがらひたすら申し訳なさそうに頭を下げ続けるクリフトと、ひたすらあはははははと情けない笑いをし続けるデイ。



彼らのおつかいはまだまだ続く。






たまにはデイ(女勇者)とクリフトのコンビで遊ばせてみるのもいいかなとー。
恋人同士じゃないですよもちろん。

ところで、財布の中身が999円だったときと、レジの会計が777円だったときって無意味やたらに感動して言いふらしたりしません?(お前だけだ)
(04/08/20 UP)


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