37.有無を言わさず ...05/08/16 ――パデキアはあたしが取りにいくから。 ――クリフトを放っておけないでしょ?じいはクリフトを診てあげて。 「…」 ブライは固くタオルを絞った。 ベッドを見下ろす。 青白い顔をした神官。 その目はぎゅっと閉じられ開かない。 玉のような汗の浮かんだ額をぬぐう。 冷たいタオルが見る間に熱を吸う。 ――しかし、いくら姫様とはいえ、おひとりは…! ――助けたいのよ。お願い、お願い行かせてよじい。 最後の言葉はもはや懇願に近かった。 強堅で頑固な姫君。 全く、こんな小童などのために…。 「治ったら、土下座せぇよ。果報者じゃお前は」 ブライは、黙々とクリフトの汗をぬぐう。 勇者到着まで、あと1日半。
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