30.瞬く間 ...05/03/12 「もー、何で着いてきたのよぅ」 「何でとは心外な。姫様ひとり旅など許されるはずがないですじゃろ」 「そうですよ!それに万が一、万が一にでもお怪我でもされることがあったら…」 「はいはいはい。もー、クリフトったら心配しすぎよー?」 「うーん、ワシも気にしすぎじゃと思うぞクリフト」 「そんな、ブライ様!」 「だってのう、姫様がサントハイム一の武闘家なのは間違いのないことじゃし。この辺りに出る魔物程度では心配しておらんよ」 「じいってば話わかる〜」 「いいえっ、人と魔物とは勝手が違いますよ!私は本当に姫様のことが心配で…」 「はいはいはいはい、わかったわよ………っ!?」 「!!」 「っ!!」 突如、その場を包む緊張感。3人の視線が同じところに集中した。 そこには、数匹の耳飛びネズミ。 戦闘開始。 初の戦いに、いやでもクリフトの肩に力が入る。 クリフトはこん棒を構え、気合いを入れて振り下ろす!! …ときにはもうすでに。 アリーナにこてんぱんにされて、その足元にのびている耳飛びネズミたち。 もちろん、アリーナは無傷。 余裕の表情で服の埃を払っていた。 そしてその横では、呪文詠唱の準備をしながらも、明らかにクリフトより力を抜いて戦闘に臨んだらしいブライがいた。 その目が、「な?言ったとおりじゃろ?」と伝えてきていた。 「…………………」 こん棒を振り下ろす中途半端な格好のまま、立ち尽くす。 嫌な予感がした。 そしてその予感はほぼ当たることとなる。 その後も何度か魔物の群れに襲われたが、そのほとんどをアリーナが素早く叩きのめし、あぶれたものはブライのヒャドが炸裂。 クリフトはといえばこん棒はぴかぴか、魔力も自分へのホイミ以外使われることもなく。 そして一行は無事テンペにたどり着くのであった。 なお。 道中、どんどん無口になっていき、終いには自分の存在価値について深く考え始めてしまうクリフトを見ることができたということであった…。
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