03.とっくに気づいてた ...04/08/18 「姫様」 「なに?」 唐突に、大きな手のひらがあたしのおでこを包んだ。 突然のことで反応できないあたしをよそに、その手は数秒そこに収まり、そしてクリフトはふうっと息を吐いた。 「やっぱり、熱がおありだったんですね」 「えええ??何でわかったの??」 クリフトは問いに答えず、懐から瓶を取り出した。 「はい、どうぞ」 「く、薬…?」 「町に着いたとき、すぐに買ってまいりました。必ずお飲みくださいね」 「あ、ありがとう…」 クリフトは部屋まで送ってくれた。 おやすみなさいを言った後、すぐに薬を飲んで布団に潜り込んだ。 目を閉じて、一息つく。 …。 そっか… 気づかれちゃってたんだ…。 ずっと、見てくれてたんだ…。 何だか心がぽかぽかする。 よく眠れそう… 不意に手のひらの温かさがよみがえって、あたしは慌てて寝返りを打った。
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