13.春と秋とはどちらが好きか ...04/09/03



まったりとした午後の時間の中、クリフトは机に向かって本を読んでいる。
同じ部屋で、アリーナは出窓の棚に体を預けてぼーっと窓の外を見ていた。

「ねえクリフト」
「はい」
「春と秋どっちが好き?」
「どうしたんですか?急に」
「何となく。ねえどっち?」
「そうですね…」

棚から身を起こしてこちらを向いているアリーナを見、それからアリーナの向こうにある窓の景色を見る。

「どちらも好きですね」

そのまま本に目を戻してしまった。

「…それだけ?」
「ええ」
「理由とかないの?」
「あるようなないような」
「…何それ?」

ものすごく怪訝な表情のアリーナを気にしない素振りで、本から目を離さずにクリフトは口を開いた。

「姫様と一緒なら、季節なんて関係ないですよ」
「!…――――」

硬直。

まじまじと、クリフトを見つめる。
表情も変えず本を読み続けているクリフト。
視線に気づいてないはずないのに。





何て見事なポーカーフェイス。





…ややあって、アリーナはため息をついた。

「…答えになってないじゃない」
「そうですか?」
「ずるいの」

それだけ言うと、また窓の外に目をやった。




今日は、あたしの負け。


窓から見える雲の流れを目で追いながら、アリーナはふっと微笑んだ。






いじわるクリフト。そんな甲斐性ないと思うのは私だけですかー(お前が聞くな)

一応恋人同士っぽいです。しかも結構長そう。
(04/09/03 UP)


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