12.まっしろ ...04/09/02 「うわあ…綺麗!!クリフト見て見て、雲がずーっと先まで埋め尽くしてる!」 「…いえ…あの…私は…え、遠慮します…」 ふわふわと空を漂う気球ではしゃぐアリーナの誘いを、その足元で膝を抱えてがたがた震えながらクリフトは丁重に断った。 そのクリフトの顔をアリーナがひょいとのぞき込む。 「ひょっとして、怖いのクリフト?」 「え、ま、まあ…」 「え〜?もったいなーい…。じゃああたしが支えてあげるから!」 「わ?わわっ!??」 突然襲う浮遊感。 アリーナに抱きすくめられる格好で、半ば強制的に気球の下に広がる景色を眺めた。 「…―――っっっ」 世界が180度変わった。 真っ白い光が一瞬クリフトの目を突き刺し、直後、真っ白い雲の連続が視界を埋める。 少し振り向くと愛しき姫の真っ白い頬が目の前にあって、視線を下ろせば自分を抱きしめる愛しき姫の真っ白い腕。 何という、非現実。 あれもまっしろ。これもまっしろ。 まっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろまっしろ――――――――――――――――― ぐらり。 「きゃ!?ちょっ、ク、クリフト!!?」 アリーナが避ける暇もあらばこそ。 無限の白に平衡感覚を失って、クリフトはアリーナを巻き込んで仰向けのまま後ろに倒れ込んだのだった。
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